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先日、ふとセミナーの情報がありました。 普段は気にも留めませんが、テーマに興味が湧いてきたので参加することにしました。 テーマは「ドイツと日本のアクアリウムの違い」で、とあるドイツの熱帯魚メーカーの日本法人の代表が講師をされておられました。 そもそも、私がこのセミナーに興味を持った趣旨は「動物保護が最も先進している北欧の飼育に関する考え方」を学ぶことでした。 セミナーを聞いて正直なところ、目からウロコ・・・というより「は?何それ?」が所管です。(最後まで読んで下さった方にはオチをご用意しております) ここまで読んで興味がありましたら、この後もお楽しみ下さい。
日本の水族館は格好よく水槽を演出したり、季節でクラゲを展示したりとアミューズメント性を売りに集客をされているように思います。分かりやすいのが「イルカショー」です。 では、ドイツはと言いますと、どちらかというと学術的に生物を教える博物館としての存在が大きいそうです。
サメは鼻先(吻ていうところ)が尖っているよ見たいな感じですかね。 事実、円形の水槽でない四角い水槽だとサメの鼻先は傷ついてしまいます。
これイカの触手がどれだけ機能性があるのかを暗示しているような気がします。
日本とドイツの水槽は考え方も全く異なります。 日本人の文化は江戸時代に金魚をタライの中に入れて上から眺めるのが一般的でした。やがてガラスが普及すると、よく見る金魚鉢というスタイルが確立され、今に至ります。
そのためか、水槽のサイズを決める時には「初心者だし、まずは小さな水槽から始めようか。」というケースがよく見受けられます。
しかし、ドイツは違います。 熱帯魚屋「君は何が飼育したいの?」 顧客「このベタが飼いたい」 熱帯魚屋「そうだね~このサイズの魚には最低60cm幅の水槽が必要だよ。そして1匹しか飼えないよ。」 日本の熱帯魚屋さんがこれを言ったら速攻で名指しのぼったくり批判を受けます。 だって日本だったらベタは肺呼吸もできる魚だから瓶でも飼えるじゃん!それが60cm水槽を用意しろだと!! ドイツ人熱帯魚屋の言い分はこのようなことです。 「ただ飼えればいいのか?魚だって泳ぎたい場所があって寝たい場所があって食事を楽しむだろう?瓶なんかでそんな自由なことさせられないじゃないか!?」「 初めてこの話を聞いたとき、ドイツ人は「いかれてるのか?」と正直に思いました。だって私も日本人ですから。 でも北欧のペット業界の動物愛護を知ると意味も分かってきます。
北欧には日本の街でよく見かける犬猫のペットショップはありません。 もし、犬や猫を飼いたいとなると、相当の手続きや審査や処罰を覚悟しなければなりません。それほどまでに「ペットは人と同じ家族」という認識が強いのです。 だからドイツでもし、ペットショップを開こうものなら、体育館ほどの大きさの施設を用意して3匹くらいしか中で展示できないそうです。(要するに割に合わないから誰もやらないのです。) 飼育したい人は保護施設から引き取るか、ブリーダーさんから譲り受けるのが一般的のようです(そう思うと日本の犬猫は狭いケージで少々可哀そうにも思えます・・・。) 熱帯魚では、飼育するためにはエサを様々な種類そろえて栄養バランスを整えなければならないそうです。 代表いわく、人間ならば月曜チャーハン、火曜チャーハン、水曜日チャーハン、、、一週間チャーハンなんてありえないでしょ。だから魚もバランスよく栄養を供給しなければならないのです。 ・・・いったい海や川にいる魚たちが個々の意思で栄養を考えているようには全く思えないのでいささか不満な部分です。 だから、北欧では魚を食らうピラニアやアロワナといった肉食魚はほとんど売られていないみたいです(考え方に矛盾が生じるからでしょうか?)
今まで書き連ねた内容だと、北欧のペット業界は先端で日本って飼育や管理もずさんで本当に飼育する資格なんてあるのか?と感じざるをえないほど劣勢に思えてしまいます。
でも大丈夫‼
これを聞いたときに“北欧もひどっ”て思ったことがあります。
ヤツらはペットと認識した動物以外はどうなろうと関係ないって認識のようです。
例えば、食用の牛や豚なんかは「これは食べ物」って認識しかないそうです・・・。
何とも複雑な考え方ですが、遠い国との違いって何とも甲乙付けられませんね。
ちなみに私はドイツでは水景デザイナーはできません。考え方の相違から無理です。
私の思いですが、生き物は全て命があり、食べる動物にしても飼育する動物にしても感謝が必要だと思います。
人間は生き物を食べてその犠牲の上に生きています。その食について人は幸せと感じます。ペットも人が幸せになるために管理をして愛情を注ぎます。そのことを軽視して北欧はどうだ、日本はどうだというのはとても悲しいことのように思います。