2016.12.07
今回のお魚の紹介は少々、色合いが地味めなお魚です。
それでもずーっと見ていると、面白さと愛嬌にグッとくるごくわずかなファンがいます。
そんな“アカモンガラ”の魅力に迫りたいと思います。
なぜ体は黒く見えるのに“アカモンガラ”なんて名前なのでしょうね?
私が扱っている中では少しの疑問もなく、ヒレに赤みが帯びているからだろうと思っておりました。あまり気にはしておりませんでしたが、今年、たまたま我々のTOJOグループのデザイナーによる水景フォトコンテストにて沖縄に行った際、帰り際に立ち寄った“美ら海水族館”で名前の由来が分かりました。
なんと!!口の中に牙(キバ)を2本持っていてその牙が赤いため、別名では「アカハモンガラ」とも言われていたことが解りました。
そして、ネットでも説明が書かれています。
↓↓↓
美ら海生き物図鑑:https://churaumi.okinawa/sp/fishbook/00000125/
“アカモンガラ”の和名の由来は分かったところで、普通の方なら「こんな黒い魚・・・何が楽しいの?」とお思いのこととお察しします。
このお魚の特徴はお入れした水槽を眺めてみないと良さは分かりません。
このようなお声がお客様より頂く内容です。
「泳ぎ方が潜水艦みたい!」
「照明が当たる具合で黒い体が青み係ったり、赤みを帯びたり真っ黒じゃないんだね!」
「ワルそうな顔しているのに案外大人しいね!可愛いじゃない!!」
このような反応が何故か起こります。
(週に一度お伺いしているだけでは私も良さは理解していないのかもしれません・・・。)
よ~く見ていると、通常お入れする海水魚とは違う点が1つあります。
体の上にあるヒレが特徴的に長く、ヒラヒラ左右に揺れて泳いでいます。恐らくこの動きが「潜水艦」とお客様が言われるところなのでしょう。このようなシュッとしたフォルムは確かに少ない希少系(レアキャラ?)です。
そして、お客さんが言う通り照明の当たり具合で体の縁が青みかかったり、赤みを帯びたりします。海水魚というと、派手なシマシマや青やオレンジなどの独特の色彩をイメージしますが、ワンポイントで“アカモンガラ”のようなお魚がいると初めは興味がなくても、徐々にこの海水魚の魅力が気になるのでしょう。
最後に「ワルそう!」というイメージがあります。
私も水中のデザインとしてこの“アカモンガラ”を扱うまで仕入れの際もまず見向きもしなかった種類でした。
そもそも、「モンガラ」と名前がつく種類はほとんど気が強く肉食です。エビや貝などの甲殻類を持ち前の歯と強いアゴでくわえては噛み砕くというイメージがあります。
そして、生き餌(エサ)などを好む上、他のお魚との相性が悪いオレオレ主義な性格を持っていますので、基本的には混泳は避けなければなりません(単独飼育が有効です。)
しかし、“アカモンガラ”は粒エサにも慣れます。そして、アカモンガラより大きめの海水魚が一緒ですと、そんなに悪さをしません。
(見ていないうちに原因不明の十円ハゲを作ったヤッコや、ヒレが円形に“まるでかじられたような”という金田一の事件簿的な事件はたまに起こります。)
問題点は、丈夫に育つと、30cmくらいになります(海の中では50cmにまでなるようです。)のでエサは少なめに与える方が長く混泳を楽しめます。
そのため、水槽の大きさも幅90cm以上のものをお勧めします。
(大きくなって飼いきれなくなっても海に捨ててはいけません!近くの海水魚を扱うショップさんに引き取りの相談をしてみて下さい。)
ひょうきん顔のアカモンガラ。注目を浴びる海水魚ではありませんが、キャラクタ性の高い水槽デザインのワンポイントにいかがでしょうか?
TOJO東京 レミニセンス
水景デザイナー 小西