2017.05.24
今回はBARカウンターのサイドに設置させて頂いたアクアリウムがどのような雰囲気を持っているのかお伝えします。
BARカウンターってどのようなイメージがありますか?
素敵なカウンターに背景に飾ったお洒落なお酒は雰囲気があって会話もはずみます。
今回はこのようなBARカウンターのあるお店の隙間(カウンターサイド)に素敵な雰囲気を持ったアクアリウムを設置させて頂きました。
一般的にお店のように集客をされる場所では入口にアクアリウムを設置して高級感を出したり、イメージアップをはかるようにされたりすることが多いです。
今回は、BARカウンターを邪魔しない「そっと寄り添ったアクアリウム」をテーマにカウンターサイドを選びました。
BARに通うって、何をしに行くのかなと考えました。
お酒を飲みに行く、カウンター越しにBARテンさんと会話を楽しむ、知らない人とのコミュニケーションが生まれる。そのようなイメージがあります。
(自分はBARでお酒を飲む時あまり会話をしませんけど・・・。ナルシストかってツッコミが入りそうです!)
といったことで、BARでの雰囲気を全てアクアリウムで取り込むのではなく、そっと寄り添って、BARテンさんとお客さんの会話の一つになったり、お客さん同士で会話の種になったりすれば、デザイナーからの“その一日が幸せでありますように”という思いも叶うなぁと感じました。
■水槽の立ち上げってこんな感じです。
今回はこのようなコンセプトで設置に至ったストーリーを立ち上げ風景と共にご覧ください。
アクアリウムをどのような目的で、コンセプトで設置されるかを最も左右する重要なことです。アクアリウムを中心にされるお店のコンセプトの場合は何度も打ち合わせをして詳細を決めていくこともあります。
今回は2パターンの設置場所を検討し、お客さんの導線を邪魔せず、存在感を強く協調しないあくまで“寄り添う”場所を選びました。
水槽を設置する場所と位置が決まりましたら、電気配線がどの場所にあるのか、どれくらいの距離があって、配線をどのように隠すのかを検討します。
今回は頂けるコンセントまで約3m。黒い配線のテーブルタップとモールを用いて暗いBARの雰囲気に溶け込む配線に致しました。
水槽の電源は必ず壁のコンセントから頂きます。タコ足配線は熱を持って火災に繋がる原因になります。水槽には、ヒーターという水を温める機能を持った器具を使用します。この器具は熱を生むため電流がたくさん流れています。電流は熱を生む元です。十分に注意して取り扱います。
3.デザインを創ります
いよいよBARの雰囲気に合ったデザイン創りです。デザイナーが最も気合の入るところです。
今回は海水魚の入るマリンアクアリウムを扱いますので、白く細かいパウダーサンドというサンゴの骨格でできた底砂とライブロックという生きた岩を組み上げて海の中の雰囲気を作っていきます。
デザインの途中、いったん水槽から距離を置いて全体の空間とマッチしているか確認します。
デザインが重々しくなると雰囲気を台無しにしかねないですからね!
(腕の見せどころです。私の場合は汗の見せどころかな・・・。)
4.水とお魚の投入・
水中のデザインができたら、いよいよお魚の投入です。
新設する水槽の場合、なるべくお魚が調子を崩さず安定させるため“飼育水”と呼ばれる水を用います。バクテリアや水質が安定したいわば“お魚に取ってトゲの無い水”を用いる一工夫です。
飼育水を水槽の70%ほど入れた後に、水を循環させて透明度が出てきた頃にお魚を入れます。
今回の水槽のテーマは“寄り添う”というコンセプトからこんなお魚たちを選んでみました。
① カクレクマノミ
独特のユラユラした泳ぎ方でいて、オレンジ色の体に白いバンドが入った可愛いお魚です。Barのような照明を落とすような場所でも色濃く色彩が現れて綺麗に見えます。
② デバスズメダイ
沖縄の海にもいるスズメダイです。スカイブルーの体色は照明で鮮やかに見栄えします。群れて泳ぐ姿は迫力あり、美しいです。
③ シマキンチャクフグ
フグの仲間は数多くいますが、女性に大人気です。
何故でしょうね?気分でプーッと膨らんだり、ボーっとしていたり・・・。女性が母性本能をくすぐられる何かがあるのだと思います。(血統書付きのB型男子には分かりません!このお話は後日・・・。)
④ ギンガハゼ
今回のコンセプトの中で最も隠れキャラなお方です。彼?(彼女)は隠密の私からの指示を受けています。それは、、、BARに来られたリピーターさんが「こんな魚もいたんだ!」を表現すること。
と言っても元からの習性なのですが、岩や隙間から気分でひょこっと顔を出しますので、ほとんど気付かれません。
何度か足を運んだ時にお客さんに気付いてもらえたらデザイナー冥利に尽きます。
水槽内の水を100%入れて水槽の全体を完成させます。
電気配線を再度チェックし、配管からの水漏れが無いか念入りにチェックします。数分置いて再度チェックします。それほどまでに安全管理を徹底します。最後にメンテナンス内容をカルテにチェックし、お客様にも確認頂いた上でサインを頂き作業を終了します。
そして完成したデザインがこちらです。
「思った以上にいいね!」
ようやくふーっと一息つける一瞬です。
アクアリウムは、設置される場所によってガラリと雰囲気を変えてしまいます。逆を言うと、提案する側が“置く場所とアクアリウムがどのようにマッチングしてこうなる”をちゃんとお伝えできるかで良くもなるし、悪くもなるのです。
お客様(今回で言うとBARの皆さん)との距離感・温度差を一連の設置で表現してこそデザイナーなのです。
このようにして、今回のBARへの設置も無事に終えることができました。
ここで、今回の設置のおさらいをします。
■BARサイドでのアクアリウムのメリット
・ご要望にてメインにもサブにもコンセプトをお創りできます
→アクアリウムは自由自在に表現ができます。お客様の空間に合ったデザインを余すことなく表現し、魅力のあるインテリアとして扱って頂けます。
・アクアリウムがあることでコミュニケーションにつながります
→初めて来た方には“いいお店だね”と言われる雰囲気創り、リピーターの方には“こんな魚もいたんだ!”とアクアリウムを交えて会話が弾むコミュニケーションツールとしてお使いできます。
・無理なく設置をすることができます
→様々な大きさの水槽があり、スペースに合わせてミリ単位から設計することができます。
なかなか全てはお伝えできませんが、アクアリウムを通してお客様が様々なコンセプトで扱えるよう日々熱意を持って取り組ませて頂いております。
是非気になる方はお気軽にお問い合わせ下さい。
きっと、今よりよりよい空間をお創り致します。