2016.08.06
東城 久幸インタビュー(アクアリウムセラピー 2012春号より)
【アクアリウム+アロマ】
(石井先生)
水槽を置くようになってからは本当にクレームが激減しました。病院はグレゾールの匂いなどがするので今はアロマも考えているのですよ。
うちにはがん末期の患者さんも多く、昨年一年間で78件、看取ったうちの3分の2が、がんでした。その人達が病院にいる平均滞在日数は28日ですからやく一カ月ですよね。
人生の最後、約一カ月間を私達スタッフと患者さんとそのご家族がお付き合いする訳ですね。入院中、容体がだんだん悪くなる中でも意識のある患者さんにはアロマをやってあげると、とてもリラックスされるのです。
アロマもリラクゼーション効果があるようで、今では専用の機械も用意しているのです。「アクアリウム+アロマもいいのでは」と思っていますよ。人間は視覚・嗅覚・味覚・聴覚などの組み合わせが大切なのでしょうね。
(東城)
先生、それはまさに私が思っていることなのです!
私が思うアクアリウムセラピーの定義は、まず立っていたらだめなんです。脳が立つための指令を足に出し続けなければならないからです。
海の中に潜って、ダイバーが綺麗と思う時は、必ず脳の波長に4~7Hzのθ(シータ)波が検出されます。とてもリラックスできるノンレム睡眠状態の波長です。
イルカセラピーなども、イルカの超音波域の言葉に脳がθ波で反応するわけです。
人も38億年間、海の中で生活していた生命体から進化した生物です。車や電車でもウトウトしながら揺れているととても心地いいですね。
揺れることが脳の波長と合うのです。最近ではLEDライトの色合いが水の揺らぎを演出し、さらに心地良く感じられます。
そして音楽とアロマですね。視覚で植物の緑や魚達の不規則な動き、それらが組み合わさってセラピー効果が生まれる訳です。これらが今後の医療効果につながると考えています。
(石井先生)そうですね。まさに私もがん患者さんと数多く接するようになってここ2~3年そのように思うようになりました。
(東城)私は、ここの病院に水槽を設置して以来、数多くの医療施設に水槽を置いていただき本当に多くのドクターと親しくできるようになりました。
私にとっては雲の上の存在の方と旅行までご一緒していただいたりしました。
(石井先生)それは本当によかったです。
(東城)やはり「病院にはアクアリウムが本当に必要だ」と認めてもらっているので長続きしてくれるのだと思っています。医療機関の解約率は、18年間この仕事を行っている中で限りなく0%に近いのです。
私はアクアリウムを見てリラックスしていただくことは、さらにがんにかかることの予防にもなると本気で思っています。ですからオフィスなどには水槽を置いて仕事の合間に見ていただき常にストレスを取り払いリラックスしてもらうことが大切だと思うようになりました。
今後ホスピスなどにも水槽を置いて、人生の最後に綺麗な水槽の景色を見せてあげたいと思います。そして、一人でも多く奇跡の生還率を上げたいと真剣に思っています。
(石井先生)
東城さん、僕達にはそのような分野を真剣に考える時間はありませんが、必ずそのようになりますよ。
以前、50代前半の息子さんを大腸がんで亡くされたお母さんが、亡くなった息子さんを送り出す時に私達に向かって、「ありがとうございました。大変感謝します。お近くにいらっしゃるようなことがありましたら、ぜひ私の家にお寄りください。」とおっしゃったことがありました。
息子さんは血液に関わる検査センターの職員でしたが、3年くらい患って亡くなったのです。うちに入院してからは、アロマをやったり水槽のところにも連れて行って見せてあげたりしました。
私達にとっては心を尽くし、精一杯できる限りのことをしたと思います。そういうことを、お母さんは見ていてくださったのですね。
息子さんが亡くなったことは悲しいことですが、大変満足して看取られたのですね。それは、私の目に移る一つの事例ですが、このようなことは日常何処かで数多くおこっていることだと思います。
本当に水の音はいいですね。ミスト(霧発生装置による人工の霧)もいいし、水にしてもうるさすぎず、小川のささやきのような音は心がやすまり僕は好きです。
(東城)
水には様々な音色があるので、「ザーザー」など濁点がつく音よりは「サラサラ」などが心地良く感じられますね。
水に関わってきた生命の本能なのでしょうね。私達は水の音にもこだわり水景を作っています。
(石井先生)
そのような所に初めから着目したことこそが東城さんのすごいところですね。
~次回最終回(ドクターを癒す)に続く~
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TOJO東京エリア レミニセンス
水景デザイナー 小西